FOSS4G 2025 Japan 2025-10-12T11:10/PT30M

JICAや国連と共創を実践する

Practice co-creation w/ JICA and UN

藤村 英範(ふじむら ひでのり)

面白い開発をしている個人は多い

Many individuals are working on fun projects

→ 共創

Co-creation

我々のチーム

"国連オペレーション支援にベクトルタイルを入れて欲しい"

UN Vector Tile Toolkit (2018-)

UN Smart Maps Group (2022-)

hfu, smellman, yuiseki, k96mz, mapconcierge, ...

UN Open GIS Initiative (2015-, 2025-)

最近の私の事例 (1)

gh:hfu/mapterhorn-martin

Mapterhorn + Protomaps basemap + Overture buildings on UNVT Portable

最近の私の事例 (2)

gh:optgeo/terrain2225

GDAL/OGR でウェブ上の ZIP-ed Shapefile を /vsizip/vsicurl/https://... で読んで fgb に変換

Martin 1.0 の Server-Side Rendering に期待

持ち運べるウェブ

Portable Web

生成AI

Generative AI

gh:unvt/x-24b

持ち運べるウェブ

🟢 Raspberry Pi

🟢 PMTiles

🟢 Martin

🟢 Caddy

🟢 cloudflared 💨

Photo by Tony Litvyak on Unsplash

ホスティング技術の変遷

⬇️ シンプルなウェブサーバー

⬇️ セルフホストのオブジェクトストレージ

⬇️ 惑星間ファイルシステム (IPFS)

🟢 エッジトンネルクライアント (cloudflared) 💨

自己運用サーバー:容量の拡張が容易

🟢 dev.smellman.org/static

🟢 z.yuiseki.net

🟢 tunnel.optgeo.org

optgeo: Adopt Geodata

オープンジオデータ里親制度

gh:hfu/planetarble-ng ← planetarble by yuiseki

Blue Marble Next Generation in PMTiles

UN Smart Maps Group と生成AI

生成AIを仲間に迎え入れる

  1. gh:yuiseki/TRIDENT: ウェブ地図を生成する AI アシスタント
  2. optgeo: オープンジオデータからの PMTiles 生産支援
  3. style.json の生成支援 c.f. unvt/charites, Apple Pkl

trident.yuiseki.net/split

UN OCHA ReliefWebの災害情報のダッシュボード by yuiseki

技術ビジョン

Geography as Resources [[RFC 3986]]

Photo by Thomas Jensen on Unsplash

2015-

国連オープン GIS イニシアティブ

UN Open GIS Initiative

国連オペレーションのためのオープンソースGISバンドル

2025-

JICA クイックマッピングプロジェクト

JICA Quick Mapping Project

数週間から数ヶ月でのマッピング調達を目指す

共創の継続的実践

Continuous Practice of Co-creation

→ 面白い開発の継続

Continuously fun development

今後の開発

JUMP26

JICA UNVT Module Portable 26

for JICA knowledge co-creation program with participants from developing countries

  • Raspberry Pi OS Lite 64-bit trixie
  • node, docker, tmux, jq, aria2, curl
  • vim, btop, ruby, caddy, cloudflared
  • felt/tippecanoe, go-pmtiles, martin
  • gdal, vite, maplibre-gl-js, pmtiles.js

Connect to [[yourself]]

開発課題は連鎖する

Photo by Katrina Wright on Unsplash

JICAや国連と共創を実践する

Keep web maps open.

Test new technologies.

Practice software freedom.

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FOSS4G 2025 Japan 2025-10-12T11:10/PT30M

JICAや国連と共創を実践する

Practice co-creation w/ JICA and UN

藤村 英範(ふじむら ひでのり)

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面白い開発をしている個人は多い

Many individuals are working on fun projects

→ 共創

Co-creation

おはようございます。

今回は、個人開発について話をしようと思います。

面白い開発をしている個人は多いからです。

そのことを生かしながら、異なる立場の人々が協力して新しい価値を創造することができないか、と私は思っています。国際協力の分野では、それを共創と呼んでいます。

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我々のチーム

"国連オペレーション支援にベクトルタイルを入れて欲しい"

UN Vector Tile Toolkit (2018-)

UN Smart Maps Group (2022-)

hfu, smellman, yuiseki, k96mz, mapconcierge, ...

UN Open GIS Initiative (2015-, 2025-)

最初に、我々のチームについて紹介させていただきます。

我々のチームは、国連オペレーション支援にベクトルタイルを入れて欲しいという話をきっかけに作られました。

2018年に国連ベクトルタイルツールキットとして GitHub 上の組織として作成され、2022年には国連スマート地図グループというグループとなりました。一貫して、ウェブ地図に関する活動をしています。

この国連スマート地図グループを含む、国連オペレーション支援局への自由な参加型イニシアティブとして、国連オープンGISイニシアティブという枠組みがあります。

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最近の私の事例 (1)

gh:hfu/mapterhorn-martin

Mapterhorn + Protomaps basemap + Overture buildings on UNVT Portable

こういった我々の活動の最近の事例を紹介させてください。

Protomaps basemaps と Overture Tiles と、Mapterhorn を混ぜ合わせたウェブ地図です。

最近、Mapterhorn という素晴らしいグローバル標高タイルが出たので、色々なオープンジオデータを個人レベルで自由に組み合わせられることを示そうと思って作りました。

実装は生成AIに任せて、短時間でこのデモサイトを作ることができました。

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最近の私の事例 (2)

gh:optgeo/terrain2225

GDAL/OGR でウェブ上の ZIP-ed Shapefile を /vsizip/vsicurl/https://... で読んで fgb に変換

Martin 1.0 の Server-Side Rendering に期待

2つ目の事例は、専門的な地形分類のデータをウェブ地図にしたものです。

国土地理院の研究者が、全世界の標高モデルを用いて、全世界の地形分類データを作成してオープンデータとして公開しています。

2021年に公開したのですが、ラスタのピクセルをベクトル化した巨大な Shapefile で、Shapefile とは別の DBF ファイルを JOIN する必要がある形式なので、使いやすくはないものでした。

そこで、公開されているデータを ogr2ogr で FlatGeobuf に変換してデスクトップ GIS で使えるようし。tippecanoe で PMTiles に変換しました。

ズームレベルの低いところでも表示ができるようにパラメータを工夫するのが大変でしたが、生成AIを使うことで、開発者の負担を下げることができました。

まだ全世界分ができていませんが、全世界分を完成させたいと思っています。

ズームレベルが低いところのベクトルタイルはサイズは大きいので、今後、画像タイルにしたいと思っています。

MapLibre の Martin がバージョン 1.0 で予定されている、画像タイルのサーバーサイドレンダリングを試せることを楽しみにしています。

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持ち運べるウェブ

Portable Web

生成AI

Generative AI

そういったことをしている我々の技術フォーカスは現在2点あります。

一つは、持ち運べるウェブです。具体的には、Raspberry Pi のような超小型 PC でも動くような形でウェブ地図を実現します。

そうすることで、我々開発者が安価に、持続的に、安全に実験ができます。

また、我々の協力相手がウェブ地図を現場に前進させたり、一極集中を避けて分散させたりできます。

さらに、技術協力プロジェクトなどでのハンズオンを簡単にすることができます。

生成AIについては後ほどお話しします。

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Photo by Tony Litvyak on Unsplash

gh:unvt/x-24b

持ち運べるウェブ

🟢 Raspberry Pi

🟢 PMTiles

🟢 Martin

🟢 Caddy

🟢 cloudflared 💨

持ち運べるウェブの最新の実装では、Raspberry Pi 上に PMTiles ファイルをコピーして、Martin でタイルインタフェースを作り、Caddy でラップし、それを cloudflared で送り込みます。

このリストの最後にある cloudflared の採用で、実用的な速度になりました。

結果として、このような Raspberry Pi を自宅の WiFi に接続しておくだけで、数百GBの世界規模のデータを十分な速度でホストすることができるようになりました。

ウェブ地図では、速度を十分に速いものに保つことと、スケールを保つことが重要ですが、持ち運べるウェブでは、ユーザー数に対するスケーラビリティを抑えるかわりに、データ量に対してスケールすることを選ぶような実装をしています。

8

ホスティング技術の変遷

⬇️ シンプルなウェブサーバー

⬇️ セルフホストのオブジェクトストレージ

⬇️ 惑星間ファイルシステム (IPFS)

🟢 エッジトンネルクライアント (cloudflared) 💨

ホスティング技術を cloudflared にする前に、私たちはさまざまな技術を試してきました。

最初はシンプルなウェブサーバーを試していましたが、当時は三次元点群などのサイズの大きなデータへの対応を考えていたので、ストレージサイズの方向にスケールできるように、セルフホストのオブジェクトストレージを試しました。

その後、データの可用性を高める観点から惑星間ファイルシステムを試しました。

オブジェクトストレージと惑星間ファイルシステムは、技術的な利点の大きな技術でしたが、Raspberry Pi でホストするには負荷が大きすぎる技術で、十分な性能を出すことができませんでした。

そこで最近、エッジトンネルクライアントを使って CDN を活用する方法に切り替えました。CDN の無償サービスの部分を活用させていただくだけでも十分な性能が確保でき、キャッシュも効くので、実用的な技術を手に入れられたと思っています。

9

自己運用サーバー:容量の拡張が容易

🟢 dev.smellman.org/static

🟢 z.yuiseki.net

🟢 tunnel.optgeo.org

我々のグループのメンバーは、実験のために自己運用のサーバーを持っていることが多いです。自己運用のサーバーを持っていると、ストレージ容量の拡張が容易だからだと思います。

一つ目のサーバーが松澤さんのサーバーで、二つ目のサーバーが yuiseki さんのサーバーで、三つ目のサーバーが私のサーバーです。Cloudflare Tunnel を使っているので、tunnel.optgeo.org という名前にしています。

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optgeo: Adopt Geodata

オープンジオデータ里親制度

私のホスト名にある optgeo について簡単に説明します。

optgeo はアダプト・ジオデータの略称です。道路の里親制度のように、オープンジオデータを里親して、よりきれいなオープンジオデータにする、というようなコンセプトを optgeo では持っています。

この流れの中で、Mapterhorn や Protomaps、Overture のようなデータや、国土地理院の研究者の地形分類のデータのようなデータを里親しています。

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gh:hfu/planetarble-ng ← planetarble by yuiseki

Blue Marble Next Generation in PMTiles

オープンジオデータの里親の例をもう一つ紹介します。

これまでに、ベースマップや標高データなどについては、ウェブ地図で自由に使えるようになってきました。

一方で、画像データについては、まだ十分には自由になっていないと私たちは考えています。そこで yuiseki さんは、オープンな画像データを PMTiles に変換する planetarble というミニプロジェクトを開始しました。

Planetarble で Blue Marble Next Generation のデータを PMTiles にしたものを MapLibre GL JS でウェブサイトにしてみました。

実際にやってみると、画像も自分でホストして自由に使えるようにすることで、より大きな自由が得られたように感じました。

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UN Smart Maps Group と生成AI

生成AIを仲間に迎え入れる

  1. gh:yuiseki/TRIDENT: ウェブ地図を生成する AI アシスタント
  2. optgeo: オープンジオデータからの PMTiles 生産支援
  3. style.json の生成支援 c.f. unvt/charites, Apple Pkl

持ち運べるウェブの他に私たちが使うことを楽しんでいる技術に生成 AI があります。

私たちが持っているコンセプトは、「生成 AI を仲間に迎え入れる」というものです。具体的には、次のような用途で生成 AI を使っています。

一つ目が、ウェブ地図生成する AI アシスタントで、TRIDENT といいます。次のスライドで、TRIDENT の一例を紹介します。

二つ目が、先ほどのオープンジオデータ里親制度で生成 AI を使う方法で、フォーマットの変換や、ベクトルタイル生産のパラメータの調整などを生成 AI に支援させると、PMTiles 生産がかなり楽になることがわかっています。

三つ目がベクトルタイルの描画設定情報である style.json の生成支援に生成 AI を使う方法です。私たちはこれまで、style.json を設定ファイルから作るという方法を試していました。

YAML から style.jsonを作る unvt/charites や、Apple Pkl から style.json を作ることをしてきましたが、この経験を活かして、もっと自然言語を活用してスタイルを作っていくということができると感じています。

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trident.yuiseki.net/split

UN OCHA ReliefWebの災害情報のダッシュボード by yuiseki

スマート地図エージェントである TRIDENT の例をひとつご紹介します。

これは、UN OCHA が ReliefWeb というウェブサイトから出している災害情報を解釈してダッシュボードにするものです。

生成 AI エージェントというテーマを追求しながら、MapLibre GL JS のグローブビューを並べてみるとかなり格好が良いということも試したりしています。

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Photo by Thomas Jensen on Unsplash

技術ビジョン

Geography as Resources [[RFC 3986]]

私たちの技術ビジョンを整理してみると、地理空間情報を、技術的に正しい形でウェブのリソースにしていくことなのだろうと私は思っています。

RFC 3986 は Uniform Resource Identifier の仕様です。地理空間情報がウェブのコンテンツの一部としてアドレッサブルになることによって、Geography の存在価値を上げていく、ということを追求しようと思っています。

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2015-

国連オープン GIS イニシアティブ

UN Open GIS Initiative

国連オペレーションのためのオープンソースGISバンドル

プレゼンテーションの最後に、私たちが持っている共創の枠組みについて改めて紹介します。

一つ目が、国連オープン GIS イニシアティブです。

これは、国連オペレーションのためのオープンGISのバンドルを決めていこうという参加型の活動です。

2015年に開始され、アメリカ、イタリア、フィンランド、OpenDroneMap など様々な参加者が自発的に貢献してきました。

私たちは、2018年にベクトルタイルからはじめて参加をし、スマート地図のワーキンググループを作り、今年からは共同議長としても貢献しています。

国連加盟国の政府機関という形で入る必要はなく、プロジェクト単位で参加することもできます。一方で、イニシアティブ自身が予算を持っているわけではなく、参加者は、参加そのものに意義を見出していく必要がある形になっています。

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2025-

JICA クイックマッピングプロジェクト

JICA Quick Mapping Project

数週間から数ヶ月でのマッピング調達を目指す

二つ目が、JICA クイックマッピングプロジェクトです。こちらは今年の春に立ち上げてみました。JICA 内部では共創・革新・環流枠という試行的取り組みとして整理されています。

これまで、JICA での地理空間情報プロジェクトは、単体での3年間程度のプロジェクトで実施されることが多かったです。

これに対して、地図作成を数週間から数ヶ月で実施することを提案するのがクイックマッピングプロジェクトです。納品と活用のハードルを下げるために、OpenStreetMap をマッピングのメディアとして使うということが解決のコンセプトになっています。

実施してみると、そもそも開発協力における地理空間情報の役割とは何か、という根本的な問題を考えなければならないような形になってきています。

マッピングの話なので、FOSS4G という切り口とは少し違った切り口になりますが、アドバイスなどいただけるところがありましたら、いただけるとありがたいです。

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共創の継続的実践

Continuous Practice of Co-creation

→ 面白い開発の継続

Continuously fun development

発表をまとめたいと思います。

JICAや国連でも共創を継続的に実践したいと考えていますが、共創を継続するためには、クリエイター同士が関わり合い、クリエーションの実践がつながっていく必要があります。

クリエイターは最終的には個人となるため、共創を継続するには、面白い開発が継続されることが必要です。面白がれるクリエイターを増やすということも重要かもしれません。

私自身も、次の開発を計画していますので、参考まで紹介させてください。

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今後の開発

JUMP26

JICA UNVT Module Portable 26

for JICA knowledge co-creation program with participants from developing countries

  • Raspberry Pi OS Lite 64-bit trixie
  • node, docker, tmux, jq, aria2, curl
  • vim, btop, ruby, caddy, cloudflared
  • felt/tippecanoe, go-pmtiles, martin
  • gdal, vite, maplibre-gl-js, pmtiles.js

これから1ヶ月ほどのうちに、Raspberry Pi を用いたウェブ地図の生産・ホストの環境を最新化しようと思っています。

来月に、開発途上国の政府職員の方をお呼びして、測量と地図作成の研修を国土地理院で行うからです。これまでもベクトルタイルの研修をやってきたところなので、この経験を活かして、パッケージの最新化をしようと思います。

プロジェクト名は JICA UNVT Module Portable 26、JUMP26 にしようと思っています。

Raspberry Pi OS が Debian の trixie ベースになったのでこれに対応しながら、ソフトウェアを最新化し、ハンズオンに使えるような環境を作っていきます。

こういった開発を繰り返しながら、参加している人、これから参加してもらえる人、のスキルを上げていく活動が共創には必要であるように思っています。

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Photo by Katrina Wright on Unsplash

Connect to [[yourself]]

開発課題は連鎖する

そういった我々の実践に関わられるかに関わらず、皆さんが個人として何を思っているかに忠実に、思い思いの実践をしていただければ、FOSS4G はさらに面白く、盛り上がっていくのではないかと思っています。

その意味で、今回のイベントのテーマである connect to に対して、私は yourself を提案したいと思います。皆さんそれぞれの考えに忠実に開発を進めていく中で、それぞれの開発課題が連鎖して、共創が発生する

引き続きよろしくお願いします。

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JICAや国連と共創を実践する

Keep web maps open.

Test new technologies.

Practice software freedom.

ありがとうございました。質問などありましたら、いただければと思います。